研究概要 |
腫瘍局所に存在する酵素によりプロドラッグを作用型へと変換することを利用した抗癌剤治療が臨床で行われているが、腫瘍での酵素活性をさらに高める工夫をすることで、抗癌剤の腫瘍選択性を高め、抗腫瘍効果の増強と副作用の軽減を目指す。 以上の目的を踏まえ、選択的抗腫瘍効果を増進させるために平成16年度は、より抗腫瘍活性・感受性の高い培養細胞の特色を検索した。 大腸癌・胃癌・食道癌・肝臓癌細胞株をフローサイトメトリーを用い、ベラパミル活性とHoechst色素排出を評価(side population分画:SP分画)したところ、HuH7細胞株ではSP分画が0.9%に認められ、いわゆるABC transporterであるMDR, MPR等々の抗癌剤排出活性が上昇していることが示された。このSP分画とnon-SP分画をターゲットとして、5FU, Gemcittabineに対する抗腫瘍効果を測定したところ、明らかにSP分画での抵抗性が高く癌組織での抗腫瘍活性を上げるためには、癌細胞全てではなくSP分画のみヘターゲットを絞ることで効率を上げられる可能性が示された。 平成17年度は5Fuのプロドラッグである5'-DFUR、変換酵素であるPyNPaseを用いた、研究を様々な癌腫のSP分画をターゲットに行う予定であり、また臨床癌組織からSP分画を選択する手法の開発と、それらと5Fuのプロドラッグである5'-DFUR、変換酵素であるPyNPaseを用いた実験系の確立を目指している。
|