今回我々は、Na-Pheophorbide aのPDTの研究をin vivoにおいて進めていった。既存の同所性移植モデルでは転移リンパ節が縦隔にあり、露出したレーザー照射後に数日間生存させることが困難であるため本実験に適さず、新たな実験モデルを作成する必要があった。照射したヌードラット(F344/N Jcl-rnu/rnu)の足背部にヒト肺癌細胞株RERF-LC-AIを移植し、膝窩部リンパ節への転移モデルを作製した。腫瘍は、21例中20例が生着し、生着率は95.5%と高率であった。潜伏期は平均7.3±1.5日間であった。鼠径部触診による転移確認までに要した日数は、41.1±4.1日であった。この時の平均腫瘍体積は、600±200mm3であった。採取した膝窩部リンパ説の大きさは最大6×5×3mm、最小3×2×2mmであった。肉眼的にリンパ節は同定可能で検体採取は容易であった。生着した20例全てにおいて病理組織学的にリンパ節転移が認められた。膝窩部リンパ節は表在からのエコーにて確認可能であった。移植後60日のラットの膝窩部リンパ節転移を確認後、Na-Pheophorbide a 3mg/kgを足背部腫瘍周囲に局所投与した。経時的に転移リンパ節でのPheophorbide a含有量を測定し、670nmのレーザー180J/cm2逝を照射した。照射48時間後にリンパ節を採取し、組織学的にPDTの効果を検討した。Na-Pheophorbide a投与後40分で転移リンパ節内含有量は最大となり、209±128pmol/mg(n=6)であった。40分以降6時間まで含有量はほぼ変わらなかった。さらに、PDT後の転移リンパ節での腫瘍壊死面積は投与40分後・80分後で、56.7±19.9%、91.3±8.1%であり、広範な癌細胞の壊死が認められた。
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