本研究にてコラーゲンプレクロッテングに加え人工血管内腔面にヒト羊膜由来上皮細胞のseedingを行ったヒト羊膜由来上皮細胞のハイブリッド型人工血管(ポリウレタン)を作製し、ウサギ頸動脈に移植し、2週間および6週間後に同人工血管の評価を行った.当初20週後に評価予定であったが、10から20週での脱落例(死亡例)が非常に多いため、2週間および6週間後で評価を行う方針とした.評価までの期間が短くなり、吻合部内膜肥厚については評価不能となった.ヒト羊膜上皮細胞が人工血管内腔面に接着し増殖することを確認し、ヒト羊膜由来上皮細胞のハイブリッド型人工血管の作製に成功した.さらに移植したヒト羊膜上皮細胞の増殖がFGF-2とEGFのgrowth factorにより活性化されることを確認した.移植後2週間および6週間に摘出した人工血管は、コントロール群に比し血栓形成・平滑な内腔面形成にて明らかに優れていることを確認したものの、開存率では移植群とコントロール群で有為差は得られなかった.移植後2週間および6週間の移植群にて電子顕微鏡にで細胞の存在が確認され、さらにAhti-human Ki-67抗体を用いた免疫蛍光染色にて同細胞がヒト羊膜由来上皮細胞であることを確認した.しかし、移植後経時的に同人工血管内腔面の細胞数は明らかに低下しており動脈圧のsheer stressに対するヒト羊膜由来上皮細胞の人工血管内腔面への接着の維持が大きな問題となっているもの考えられた.この問題点につき今後さらに検討を要する。しかし、この問題点が解決されれば将来、ヒト羊膜上皮細胞は、内腔面を上皮細胞を用いcoatingしたハイブリッド型人工血管におけるcoating cellとして有用であることが期待されるものと考えられる.今後さらに、ヒト臍帯由来上皮細胞を用いたハイブリッド型人工血管の可能性を探る方針である.
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