1.新軟磁性体(センサ内部)の仕様の検討及び開発:川上誠(研究協力者;NEOMAX 機能部品開発グループグループ長):微量な超常磁性酸化鉄コロイドからの磁場を検出できるセンサを完成させるために、センサを構成する磁性体の大きさ、センサの位置分解能、測定所要時間、手術室での電磁気ノイズの大きさなど、計画パーツごとに必要とされる精度と空間分解能の設定をシミュレーションで行った。磁性体の表面処理には、希土類のデスプロシウムでのコーチングにより保持力が8%増加したNEOMAX54磁性体(未発売)の強化磁性体を検討対象とした。 2.3次元磁場センサヘッドの仕様検討及び開発:3次元センサについては、平成13-15年度に開発したフラックスゲート式3次元磁気センサを用いるが、さらに高感度で安定な特性を得るために地磁気のキャンセル機構に改良を加えた。 3.検出した磁場データから対象センチネルリンパ節の磁力発生部位の表示アルゴリズムの開発:西川敦(研究協力者;大阪大学大学院 基礎工学研究科システム人間系専攻):地磁気のキャンセルのアルゴリズムを新規に開発し、対象リンパ節の相対位置とその磁力強度を検出・表示するシステムを計算機上においてシミュレートした。結果:現在のフェリデックス(酸化鉄コロイド)の存在部位を、画像化するまでには、酸化鉄コロイドの形成する磁気双極子の磁力が小さい点をのりこえる必要が大きい。肺は、術中変形が大きい臓器であるので、臓器の内部に存在する腫瘍の位置を内視鏡手術のカメラ画像に重ね合わせて、リアルタイムに、歪みなく表示するシステムが必須である。 以上の点をふまえて、「Intraoperative magnetic navigation system for thoracoscopic surgery and its application to partial resection of the pig lung.」 CARS 2004 437-442、シカゴで発表をおこなった。
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