研究概要 |
肺癌においてセンチネルノードコンセプトを臨床で実用化することである。より具体的には肺癌手術中(in vivo)に、超常磁性酸化鉄コロイド(フェリデックス【◯!R】)を腫瘍近傍に注入し、それがリンパ流に乗って最初に流れ込んでいくセンチネルリンパ節を検出できるシステムを構築することであるが,そのためにはこれまで我々が基盤研究(B)(1)(平13-15)で研究開発を進めてきた超高感度フラックスゲート式磁場センサシステムの精度が必須と考えられる。このセンサシステムでは刻々と微妙に変化する地磁気の干渉を取り除いてその百分の一しかない微弱な磁場をも検知できるので,前述の手法によってリンパ節に形成される磁場も検出可能と考えられる。本システムをリファインして臨床応用することをめざした。すでに現有のセンサの調整を行い、他の医療機器からの相互作用や誤作動の可能性について検討を重ね、精度をあげることが出来た。しかしながら、フェリデックスに含有される磁性体の形成する磁場がセンサの検出感度の2mG(地磁気が平均380mG)よりも小さく、安定して双極子モーメントとして検出できるにはいたらず、画面にNSの双極子の磁場を描画するにはいたることは出来なかった。かわりに、フェリデックスの磁性を定性的に感知することは可能であるので、フェリデックスの存在部位を音で知らせる機械を試作して、センチネルリンパ節を検出できるシステムとして検討し、動物実験を行った。比較的リンパ節の表面にあれば、検出できる可能性があった。動物実験の数が少ないので、動物レベルで実験を重ねてから、臨床応用への可能性を検討したい。
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