研究概要 |
本年度は、前年度に確立した慢性心不全動物実験モデルにおいて、拍動型補助人工心臓を用いた補助を行い、心筋に移植した骨髄間葉系細胞により心機能がどう変化するかを検討した。具体的には、以下の通りである。 1.拡張型心筋症モデルの作成 成山羊にドキソルビシン(アドリアマイシン1.0 mg/kg)を週に一回注入。4〜6週継続し、慢性心不全モデルを作成した。 2.補助循環の作成 拍動型補助人工心臓を用いた、左室心尖脱血-下行大動脈送血の左心補助を作成した。 3.細胞移植 事前に骨髄液から接着系の細胞をin vitroで培養し109個程度まで骨髄間葉系細胞を増殖した。これを心臓表面から1箇所に付き約0.1 mL 30〜50箇所、心筋内注入した。 4.力学的特性の検討 人工心臓の駆動条件による心筋の力学的特性を詳細に解析した。人工心臓は自己心と非同期モードで駆動し、拍動数を60から30回/分の間で10回/分おきに変化させ、その際の心筋の収縮応答性を精査した。 補助人工心臓の拍動数を変化させると,自己心の容量負荷が変化し,左室の一心拍ごとの圧容量曲線は拍動数が減るにつれて横幅の広い図形を描いた。しかし,収縮末期圧容量関係(ESPVR)は拍動数に関係なく一本の直線上を動いた。したがって通常用いられる,最大エラスタンス(Emax)を用いて,心収縮能評価が可能であることがわかった。
|