研究課題/領域番号 |
16659378
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
冨永 悌二 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00217548)
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研究分担者 |
高山 和喜 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (40006193)
孫 明宇 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (00311556)
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キーワード | 医療工学 / バイパス手術 / 術後合併症 / 局所過灌流 / 定量評価 / 術中診断 |
研究概要 |
本研究では、脳表近傍脳血流量の術中モニタリングシステムの開発を目的とした。 工学的面では脳外科手術専用の高解像度赤外線画像システムを試作した。特にBa・Str・Tiアレーレンズの焦点距離を変更、拡大率の増加を図ることで情報量の向上を実現し、特殊画像ソフト併用により撮影直後に半定量的に脳表近傍血流量の変化量が評価可能となった。 医学面では術中脳表近傍血流評価により術後合併症予測を行うモデル疾患としてモヤモヤ病を選択した。2005年3月から2006年2月まで東北大学脳神経外科で施行したモヤモヤ病症例で血行再建術を行った8例、9側を対象とし、これらの術中赤外線画像所見と術前、術後1、7日目の脳血流定量評価、術前、術後2日目のMRI検査所見、ならびに臨床症状の経過を比較、検討し、術後合併症(特に術後一過性局所過灌流:FHPの発生リスク)の予想が術中所見より可能か検討した。その結果、術中赤外線画像所見には以下のパターンが存在した。 1.バイパス部開存(+)、MCA描出(+)、皮質領域描出(+)3例、3側中全例で術後症候性のFHPを認めた。 2.バイパス部開存(+)、MCA描出(+)、皮質領域描出(-)5例、5側中、4例、4側で臨床的には症状なく経過したが、SPECT上FHPを認めた。 3.バイパス部開存(+)、MCA描出(-)、皮質領域描出(-)1例ではSPECT所見も含めてFHPは認められず。 術後FHPの病態は不明な点が多く、これまで虚血症状と解釈されてきていたが、両者で治療方針はほぼ正反対であることから、本研究の成果は有意義なものである。 並行して行ったインドシアニングリーンを近赤外レーザー照射により励起し、脳血流および脳表近傍血管の形態学的可視化を行う光化学的診断方法の開発においてもプロトタイプを作製し、ビーグル犬脳表において可視化実験を行い、形態学的評価のみに関しては上記画像システムに比較して格段の向上が認められた。来年度以降も両者の利点を併せ持つ新しい赤外線光化学診断システムの開発を継続したい。
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