研究課題/領域番号 |
16659382
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
加藤 一郎 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (50250741)
|
研究分担者 |
遠藤 俊郎 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (70125269)
濱田 秀雄 富山大学, 附属病院, 助手 (40272918)
|
キーワード | 先天性水頭症 / TGFβ / GFAP遺伝子 / アミノ酸変異 / トランスジェニックマウス / EGFP遺伝子 / 疾患モデル動物 / Creレコンビナーゼ |
研究概要 |
再現性の高い先天性水頭症のモデル動物はこれまでなく、水頭症の原因解明・新規治療法の開発には適切なモデル動物の開発が急務である。平成18年度の研究は以下のように進行した。 1.前年度までに、脳グリア細胞系列で遺伝子発現を起こすGFAP (glial fibrillary acidic protein)遺伝子のプロモーターエンハンサー領域1.9kbpの下流に変異型TGFβ1(Cys223Ser & Cys225Ser)をコードするcDNA、SV40 DNAをつないだ融合DNA (GFAPpro-TGFβ1-SV40)を持つトランスジェニックマウスを2系統(系統521、系統525)、作成した。 2.上記のGFAPpro-TGFβ1-SV40トランスジェニックマウスの全脳RNAを用いてRT-PCR解析を行い、脳において変異型TGFβ1mRNAの発現が増加していることを確認した。 3.抗TGFβ1抗体を用いてタンパクブロット解析を行い、2系統のトランスジェニックマウス脳において変異型TGFβ1蛋白質(12kDa)が増加していることを確認した。 4.変異型TGFβ1の脳内発現レベルを上昇させるため、系統521、系統525についてhomoトランスジェニックマウスの作成を行った。heteroマウス同士の交配により、それぞれの系統につき約100匹の子孫を得た。合計約200匹を調べたが、典型的な先天性水頭症の発症は認めなかった。しかし系統521の中の1匹は生まれてすぐに頭蓋破裂で死亡した。 本研究の結果、水頭症を起こす原因タンパクである変異型TGFβ1を脳内で安定的に発現するマウスをはじめて確立した。今後このトランスジェニックマウスを用いることにより、変異型TGFβ1発現による影響を胎生初期からの各発生段階の脳において分子形態学的に追跡することが可能になった。
|