研究課題/領域番号 |
16659388
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小野 成紀 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (40335625)
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研究分担者 |
伊達 勲 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (70236785)
杉生 憲志 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40325105)
徳永 浩司 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40294467)
三好 康之 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 講師 (00362997)
松井 利浩 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (80362995)
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キーワード | cerebral vasospasm / 11R / basilar artery / rat / eNOS / protein therapy / subarachnoid hemorrhage |
研究概要 |
11R蛋白による脳血管壁細胞外から細胞内への蛋白質導入に関する研究成果として、今回、我々は、11Rに緑色螢光色素であるEGFP(enhanced green fluorescent protein)を融合させて、脳血管壁への導入をex vivo, in vivoで検討した。生理食塩水でラットの脳を灌流後脳幹を摘出し、11R-EGFP+DMEM(12.5μM)およびEGFP+DMEM(12.5μM)に静置した。凍結切片を作成し螢光顕微鏡で脳底動脈を観察したところ、11R-EGFP群で脳血管壁への著明な導入を認めたが、EGFP群では殆ど導入を認めなかった。次に、11R-EGFPおよびEGFPをそれぞれ最終濃度12.5μMとなるようにラット大槽内注入した。注入後、生理食塩水で灌流し脳幹を摘出、凍結切片を螢光顕微鏡で観察した。11R-EGFP注入群では、2時間後には既に、脳血管壁全層への著明な導入を認めた。しかし、EGFP注入群では脳血管壁への導入は認めなかった。血管の部位別導入効率に関しては11R-EGFP注入群は、EGFP及び生食注入群と比較し、中膜に高い螢光強度を示した。以上のように脳血管壁へ11Rによる蛋白質導入が可能であることを確認した後、われわれは、一酸化窒素合成酵素と11Rの合成蛋白を作成し、脳血管壁へのくも膜下出血モデルに対する導入実験にも成功した。くも膜下腔への同蛋白質注入2時間後、くも膜下血腫存在下においても本合成蛋白は脳血管壁に導入可能であった。現在、この蛋白により産生される一酸化窒素による、くも膜下出血後惹起される脳血管攣縮の抑制効果について研究を進めている。また、これらのデータは第21、22回スパズムシンポジウム、第64回日本脳神経外科学会総会、第5、6回日本分子脳神経外科学会等において発表した。
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