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2004 年度 実績報告書

虚血性脳神経細胞死の分子メカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 16659392
研究機関熊本大学

研究代表者

荒木 令江  熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (80253722)

キーワードp53 / ノックアウト / 虚血性アポトーシス / プロテオミクス / トランスクリプトーム / 2D-DIGE / cICAT / 海馬
研究概要

近年、虚血性ストレスによる脳神経系の組織障害が問題となっている。我々は、急性・慢性的な虚血や癲癇性発作等における局所的な脳組織障害の発生に、p53分子を介する脳神経特異的な細胞死へのシグナルが大きく関与していることを明らかにした。p53は、遺伝子損傷や各種の生体ストレスのシグナルによって誘導され、細胞周期、アポトーシス、DNA修復・複製、分化等を制御する多機能性分子としてあらゆる生命科学分野で最も注目されているが、脳神経系細胞における機能の詳細は未だ解明されていない。本研究では、虚血性ストレスによる脳神経組織障害発生のメカニズムを解明する一つの手段として、p53を介して誘導される脳神経細胞死に関連するシグナル分子の検索を行った。即ち、p53正常(+/+),ノックアウト(-/-)マウスの総頸動脈結紮による海馬・線条体神経細胞の虚血性遅延障害モデルを開発し、各脳組織・細胞のプロテオーム及びトランスクリプトーム解析により、虚血性ストレスによる脳神経細胞内におけるp53の動態及びp53有無に付随して発現や翻訳後修飾、機能を調節される分子群を検出・同定し、これらの分子の構造と機能解析を行った。現在までに、プロテオームの手法のうち、2D-DIGE法を用いた結果、約4000個の全蛋白質から213個の特異的な蛋白質(p53遺伝子の有無にかかわるもの93個、虚血性アポトーシスに関わるもの53個、p53およびアポトーシス両者が特異的に関わるもの39個)が検出された。又、cICAT法による解析においては297個の特異的な蛋白質がp53およびアポトーシスに関わる分子として同定された。これらの結果をシグナルネットワーク解析ソフトに供与して特異的p53依存性のアポトーシスシグナル経路を抽出したところ、既存のアポトーシス経路に加え、レドックス関連因子群、notch, wnt, cadherinの関与するシグナル系がユニークな経路として検出された。本研究によってp53及び関連分子の神経細胞死に関わるシグナル伝達機構の一旦が明かになり、これらの分子シグナルの活性を調節する薬剤やターゲット分子が、脳神経系組織障害の予防や治療へ応用できる可能性が示唆ざれた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] PKA phosphorylation and 14-3-3 interaction regulate the function of neurofibromatosis type I tumor suppressor, neurofibromin.2004

    • 著者名/発表者名
      Feng L.et al.
    • 雑誌名

      FEBS Lett 557・1-3

      ページ: 275-282

  • [雑誌論文] Role of TAFII-17, a VDR binding protein, in the increased osteoclast formation in Paget's Disease2004

    • 著者名/発表者名
      Kurihara N. et al.
    • 雑誌名

      J Bone Miner Res 19・7

      ページ: 1154-1164

  • [雑誌論文] Methods for protein purification from biological samples2004

    • 著者名/発表者名
      Araki, N.
    • 雑誌名

      Tanpakushitsu Kakusan Koso 49・11

      ページ: 1495-1505

  • [雑誌論文] 「in vitroラベル法」オンラインLC-MS法による発現プロファイル解析2004

    • 著者名/発表者名
      荒木令江
    • 雑誌名

      決定版!プロテオーム解析マニュアル

      ページ: 111-124

  • [雑誌論文] 「脳腫瘍の病態プロテオミクスで見えてくる新たなシグナル伝達経路」"プロテオミクスでみえてくる生命機能の新たなメカニズム"2004

    • 著者名/発表者名
      荒木令江
    • 雑誌名

      実験医学 23・7

      ページ: 1050-1058

  • [雑誌論文] プロテオミクスによる疾患研究と臨床診断に向かう戦略2004

    • 著者名/発表者名
      荒木令江
    • 雑誌名

      疾患プロテオミクスの最前線 2

      ページ: 26-30

  • [図書] 疾患プロテオミクスの最前線2004

    • 著者名/発表者名
      荒木令江, 戸田年総 編集
    • 総ページ数
      402
    • 出版者
      株式会社メディカルドゥ
  • [産業財産権] 情報処理システム、および、情報処理プログラム2005

    • 発明者名
      荒木 令江
    • 権利者名
      (財)くまもとテクノ産業財団
    • 産業財産権番号
      特願2005-076106
    • 出願年月日
      2005-03-16

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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