研究概要 |
脳血管攣縮を、その反応の最下流である収縮タンパク質アクチン・ミオシンの相互作用(クロスブリッジ形成)を阻害することで、抑制する治療戦略を打ち立てることを目的として、昨年度に引き続きheat shock protein 20 (HSP20)の平滑筋アクチン結合部位(残基110-121)由来ペプチド(HSP20p;Ac-GFVAREFHRRYR-NH2)アナログが、モデル平滑筋収縮に与える影響を検討した。収縮増強・抑制という相反するHSP20pの作用点を明らかにするため、ペプチドの各アミノ酸残基をグリシン置換したアナログを合成しモデル平滑筋収縮への効果を検討したところ、収縮抑制にR114,R121の2つのアルギニンが必要であることが明らかになった。更に、G110、F112の間へのアルギニン、もしくはリジンの挿入によりより強い平滑筋収縮抑制が得られる、という予備実験結果を得、第83回日本生理学会において発表を行った(Yoshino et l. 2006)。又、本データを広く公開すべく、英文誌への論文投稿の準備を進めている。 又、HSP20pの脳血管収縮・弛緩に対する効果について動物実験を行い、モデル平滑筋と同様に血管収縮に対して増強・抑制の2相性効果を持つ一方、弛緩経過を著明に延長させることを明らかにし、第83回日本生理学会において発表を行った(Hashimoto et al., 2006)。又、弛緩延長効果の作用点を明らかにするため、HSP20pアナログを用いて詳細な検討を行った。
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