研究概要 |
1)ALA-PDTの抗腫瘍効果とそのメカニズムの解明: 脳腫瘍細胞株に種々の波長(405nm)および光量(0.1,1,5,10J)の光を照射し、その際の抗腫瘍効果をMTT assayで評価したところ、光量依存性に抗腫瘍効果を認めた。更に、PDT処置後の培養細胞を、TUNEL染色を行ったところ陽性細胞を多数認め、DNA ladderも確認しえた。また、カスパーゼ3、9の活性化、カスパーゼ8の安定化、ミトコンドリア膜電位(mitochondrial permeability detection kit ; BIOMOL Research Laboratories)の低下、さらに、細胞質内へのチトクロームCの放出を認めた。以上のことから、ALA-PDTの抗腫瘍効果は、ミトコンドリア経路によるアポトーシスが主要な抗腫瘍経路であることが判明した。 2)ALA-PDTにおける活性酸素種の発生の証明: 脳腫瘍細胞株における細胞内フリーラジカル生成もESR装置(JES-FA, JEOL社製)により測定したところ、光照射期間に一致してスピンラベル剤(TEMPOL)の信号の低下(すなわち活性酸素種の発生)を認めた。TEMPOLの細胞膜の透過性は、きわめて良好であることから、この活性酸素種は細胞内で発生したものと考えられる。 しかし、上記結果からは、活性酸素種を同定することは不可能である。今後、他のスピンラベル剤または、スピントラップ剤を用い、生じた活性酸素種が一重項酸素、ハイドロキシラジカルあるいはスーパーオキサイドのいずれであるのかの検討が必須である。
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