研究概要 |
本研究の最終目的は、骨軟骨代謝調節因子として従来注目されていなかった細胞周期関連分子のひとつであるサイクリン依存性キナーゼ6(CDK6)およびその関連分子による生体内における骨軟骨調節機構を解明し、これを骨軟骨再生医療分野および骨粗鬆症治療薬開発、骨軟骨腫瘍治療薬開発に繋げることである。我々は、培養細胞株を用いた実験から、骨芽細胞および軟骨細胞の分化シグナルの下流に細胞周期関連分子であるCDK6の抑制が存在していることを既に報告している(Mol Cell Biol 24:6560-6568,2004,J Cell Physiol204:927-933,2005)。そこで、今回新たに生体内でのCDK6の調節機構を証明する目的で、軟骨細胞及び骨芽細胞に特異的にCDK6を強制発現させた遺伝子改変マウス(CDK6トランスジェニックマウス;CDK6 Tg)ならびに同様に組織特異的にCyclinD1を強制発現させた遺伝子改変マウス(CyclinD1トランスジェニックマウス;CyclinD1 Tg)を作成し、その掛け合わせにより、CDK6 CyclinD1トランスジェニックマウスを作成した。これらのマウスの骨軟骨組織を詳細に解析したところ、生体内においてもCDK6は分化を抑制すること、細胞周期のS期移行の促進と同時にアポトーシスを誘導し、このアポトーシスがp53依存性であることを発見した(現在投稿中)。また、代表的アポトーシス関連分子として知られるp53とBcl-2とCDK6との関連を検討するために、現在CDK6トランスジェニックマウスとp53ノックアウトマウスあるいはBcl-2ノックアウトマウスとの掛け合せを行っており、p53あるいはBcl-2いずれかの経路を遮断することによって、CDK6による細胞のアポトーシス誘導をレスキュー出来るか検討している。
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