これまで骨量を規定する遺伝子の絞り込みを、数種類のコンジェニックマウスを作製して行ったところ、低骨量系モデルマウスであるSAMP6の第13染色体上の1センチモルガンの範囲に、この遺伝子が存在することが示された。同範囲にはこれまで候補としていたTbce遺伝子は存在しなかったが、RT-PCRやcDNAマイクロアレイによる発現解析から、骨芽細胞や骨での発現が、コントロールである高骨量系のSAMP2に比べ、数倍高い遺伝子を同定した。発現量の差は組織によって異なるものの、特に骨ではリアルタイムPCR法によって10倍程度の差が認められた。この遺伝子がコードするタンパクは分泌タンパクであり骨や骨髄を含む様々な組織で発現を認めた。さらにin vitroで骨芽細胞の増殖や分化を抑制することが示された。この遺伝子のコーディング領域にはSAMP2とSAMP6間で変異を認めず、またスプライシングの異常も認めなかったが、コーディング領域の上流にいくつかの変異を認め、ルシフェラーゼアッセイで発現量の有意な差を認めたことから、この遺伝子が骨量を規定する有力な候補遺伝子であり、上流プロモーター部位の変異による発現量の差が表現型に影響を与えていると考えられた。現在、組織標本やuCTを使用した表現型の解析や、この遺伝子の骨特異的発現トランスジェニックマウスを作成中であり今後その解析を行う予定である。
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