アフリカツメガエルなどの両生類の長管骨は哺乳類に比べ、一次海綿骨形成が著しく遅延し、かつ二次骨化も成長末期に未熟な骨梁として僅かに出現するだけである。我々はこの種族間における相違を、骨形成に必須な転写因子であるRunx2の機能ドメインの分子進化に基づくものと仮定した。そこで本研究課題ではツメガエル-マウス間でのRunx2キメラ蛋白を作成し、in vitroの実験系で他の蛋白との相互作用、レポーター遺伝子の活性化能を比較検討した。 まず、我々がクローニングしたアフリカツメガエルのRunx2と三種類のマウスRunx2アイソフォームとの構造比較から、4領域のドメインに分け、それぞれをスワップさせた多数のキメラを作製した。作成したキメラRunx2を発現ベクターに組み込み、オステオカルシン、オステオポンチン、ALPのプロモーターをルシフェラーゼ遺伝子に組み込んだレポーター遺伝子とともにC3H10T1/2細胞に一過性に遺伝子導入した。そしてその転写活性化に及ぼす影響を検討することで哺乳類における進化ドメインを決定した。その結果、DNA結合ドメインのみを置換させても、転写活性が保たれていることから、結合遺伝子配列には爬虫類、哺乳類において差異はないものと考えられた。一方c端1/4の領域を置換させた場合はALPとオステオカルシンのプロモーター活性が著明に低下したことから、この領域での進化的置換が重要と判断した。そこで現在さらに領域を狭めて解析を行っている。
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