研究課題
尿道下裂は小児外陰部奇形の中でも最も頻度の高い疾患のひとつである。その成因は、胎生期に男子前部尿道の形成に不可欠とされる男性ホルモンの分泌あるいは作用発現の障害によって、尿道形成過程が途中で障害され、形成が不完全となった結果、発症すると考えられている。最近本症の発症と外因性内部分泌攪乱物質との関連性が指摘されている。今回妊娠期ラットの母体内に、外陰部形成期である胎生15〜17日に環境ホルモンのひとつであるDES(ジエチルスチルベステロール)を投与し、外陰部形成過程に異常をきたしうるかどうか検討した。出生した雄の外性器について観察したが、外陰部形態異常を呈する動物は認められず、本剤の薬理学的影響はラット胎児には及ばないのか、投与量が不足なのかが示唆された。今後、投与量および投与時期の検討、投与薬剤自体の検討を行い、次年度の研究を計画中である。