研究課題
尿道下裂は小児外陰部奇形の中でも最も頻度の高い疾患のひとつである。その成因は、胎生期に男子前部尿道の形成に不可欠とされる男性ホルモンの分泌あるいは作用発現の障害によって、尿道形成過程が途中で障害され、形成が不完全となった結果、発症すると考えられている。昨年度、妊娠期ラットの母体内に、外陰部形成期の胎生15〜17日を含む14〜20日に環境ホルモンのひとつであるDES(ジエチルスチルベステロール)の100μg/kgBWを投与したにもかかわらず、陰茎・尿道の形態異常が得られなかった。今年度は、投与量を増加と投与時期を延長化することにより、外陰部形態異常の発現に取り組んだ。投与量増加・時期延長化により母体の生命の維持を含めた妊娠が継続できず、胎児期DES投与による陰茎・尿道への異常発現の影響を明らかにすることはできなかった。