研究課題/領域番号 |
16659453
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
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研究分担者 |
加藤 秀則 九州大学, 大学病院, 講師 (60214392)
加藤 聖子 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
松田 貴雄 九州大学, 大学病院, 助手 (10304825)
有馬 隆博 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80253532)
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キーワード | NECC1 / ノックアウト / 巨細胞層 / 海綿層 / トロホブラスト分化 / SRF / ドミナント・ネガティブSRF |
研究概要 |
1.マウス胎盤組織構築へのNECC1遺伝子の関与 NECC1+/+、+/-及び-/-マウス胎盤を収集し、胎盤の組織構築を解析した。NECC1遺伝子は+/+胎盤においてE8.5-E10.5巨細胞及び海綿層で発現していた。E11.5胎盤ではその発現は消失した。巨細胞層、海綿層及びトロホブラスト幹細胞にそれぞれ特異的に発現するpl1、Tpbp及びCea4、Cdx2発現をIn situ hybridizationで調べ、-/-及び+/-或いは+/-胎盤と比較した。その結果、-/-胎盤では巨細胞層の過形成及び海綿層の低形成が観察された。さらに-/-胎盤におけるトロホブラスト幹細胞の顕著な減少が観察された。E11.5-/-胎盤ではpl1及びTpbpの両方のマーカーを発現する巨細胞も出現し、NECC1は胎盤絨毛細胞の分化に関与することが示唆された。 2.RCHO-1細胞におけるNECC1強制発現系の樹立 ラットトロホブラスト幹細胞としての性格を有するRCHO-1細胞を用い、低血清刺激による分化誘導を行った。分化刺激後3日目にNECC1発現は有意に亢進し、4日目にはその亢進が抑制された。RCHO-1細胞は分化刺激により、トリプリン抵抗性やploidyの増大などの分化に関する表現型が出現した。同時に巨細胞のマーカーであるpl1発現も亢進した。しかしアデノウイルスに組み込んだNECC1(Ad-NECC)を感染すると分化刺激存在下での分化誘導が抑制された。分化誘導の抑制に伴いpl1遺伝子発現の抑制も観察された。 3.NECC1シグナル伝達路の解析 NECC1及びSRFに対する抗体を用いて免疫沈降を行った結果、NECC1はSRFと共沈することが判明した。SRF-lucリポーターコンストラクトを用いて、NECC1によるSRFへの蛋白相互作用がSRF転写能の変化に及ぼす影響について解析した。その結果、NECC1はSRFと結合する事によりその転写能を抑制する事が明らかとなった。ドミナント・ネガティブSRF強制発現RCHO-1細胞を作成した結果、Ad-NECC1感染時と同様の分化抑制が示された。
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