研究概要 |
前年度の研究で、EBV陽性細胞であるNPC-KT細胞を用いて、アシクロビル、ガンシクロビル、アデフォビル、シドフォビルについて細胞障害性について検討した結果、100ug/mlにおいて細胞障害性は(生きている細胞の割合で表示)アシクロビル34%、ガンシクロビル38%、アデフォビル32%、シドフォビル42%であった。さらに強力な細胞障害性を得るために、リボ核酸還元酵素阻害剤(RR inhibitor)を併用したところヒドロキシウレア、ダイドックス100ug/mlでの細胞障害性は60%、70%であった。 本年度の成果 核酸アナログ系抗ウイルス剤に対するRR inhibitorの細胞障害活性増強機序の解明に取り組んだ。RR inhibitorは特異的dNTPの量を減少させ、その結果核酸アナログタイプ薬剤の細胞DNAへの取り込みが促進されるとの仮説をたてた。 1)4種類の細胞内デオキシリボ核酸(dNTP)量の計測システムを構築するため、dATP, dGTP, dCTP, dTTPおのおのを同時に分離して測定する条件設定を行った。その結果、High Performance Liquid Chromatograpgy (HPLC)を用いることにより、in vitroにおいておのおののdNTPの測定が可能となった。しかし、細胞内のdNTP量の測定はきわめて困難であることが判明した。 2)以前に同様のシステムを構築し、論文を発表している岡山大学生化学教室から、アドバイスをいただき、フロンを用いた測定システムで最適化を進めている。その結果、各dNTPを示す測定値のピークは検出可能となった。しかし、現在まで定量が可能なまでに至っておらず、引き続き、来年度は細胞数を増やすことと、抽出システムの改良でこの問題に取り組んでゆく。
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