平成16年度 1.内耳損傷による聴覚系ニューロンでのKCC2 mRNAの発現変化(担当 渡辺) 耳後部切開後、中耳腔よりラットの内耳を開窓し100%エタノールを内耳に注入することで内耳損傷動物を作製する。内耳損傷後、3日、7日、14日後に断頭し凍結切片を作製し、35Sでラベルしたオリゴプローブを用いin situ hybridization法にてKCC2 mRNAの発現変化を観察した。内耳損傷により聴覚系中継核でのKCC2発現が低下傾向を示していることが捕らえられた。 2.内耳損傷による聴覚系神経核におけるKCC2蛋白の量的変化(担当 大野) in situ hybridizationの結果をもとに、内耳損傷後KCC2 mRNAの発現が最も変化していると思われる時期に断頭したラット脳から左右の蝸牛神経核、上オリーブ核を切り出し、その中から膜蛋白分画を抽出し、同様な操作で抽出したノーマルラットの膜分画の蛋白をコントロールとし、電気泳動することによってアクリルアミドゲル上に各々の抽出蛋白を展開、ニトロセルロース膜に転写後、抗KCC2抗体(Chemicon)を用いてKCC2蛋白の発現量の変化を比較することを試みた。KCC2のバンドは認められたが、両者の差を示すには十分なデータがまだ得られていない。このため平成17年度も引き続きこの検討を続けていく予定である。 3.脳幹切片上でのKCC2蛋白の発現変化の検討(担当 渡辺) 内耳損傷ラットを4%パラホルムにて還流固定し、脳幹の前頭断切片を作製する。抗KCC2抗体(Chemicon)を用いた免疫組織化学法にてKCC2蛋白の発現量の変化、細胞内での局在の変化を切片上で観察することを試みている。この研究は平成17年度も引き続き行う予定である。
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