研究課題/領域番号 |
16659466
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
丹生 健一 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20251283)
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研究分担者 |
石田 春彦 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70223005)
寺島 俊雄 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20101892)
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キーワード | olfactory epithelium / adenoviral vector / LacZ / BDNF / GDNF / NGF |
研究概要 |
背景:現在、嗅覚障害は一般にステロイド剤の局所投与を中心として治療がなされているが、その作用機序は未だ明らかではなく、感冒罹患後や外傷など嗅上皮より中枢の軸索や嗅球の障害が原因と考えられる嗅覚障害や、加齢に伴う嗅覚障害に対しては有効な治療法はない。本研究は「神経栄養因子の遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターによる新たな嗅覚障害の治療法開発」を目指して計画された。 方法:LacZ遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを鼻腔よりマウス嗅上皮へ投与し、1〜12週間後にマウス鼻腔ならびに嗅球を一塊に採取。X-gal染色によりLacZ遺伝子の転写翻訳産物であるβガラクシダーゼの局在を、嗅上皮内に存在する嗅神経および嗅神経軸索ならびに嗅球について観察し、アデノウイルスベクターの至適投与量、投与部位、発現期間、嗅球内へのアデノウイルスの感染の有無、adverse effectとして嗅上皮の障害の程度を組織学的に検討した。 結果:LacZの発現は嗅上皮内の嗅神経細胞内に投与翌日よりみられ、約4週間をかけて次第に減少した。更に発現したLacZは嗅神経細胞の軸索を通じて、嗅球の糸球へと輸送されていることが明らかとなった。嗅上皮に明らかな炎症反応は見られなかった。 考察:アデノウイルスベクターにより嗅神経細胞ならびに嗅球に遺伝子を導入することが確認された。心配された嗅神経細胞への障害は認められず、有効な方法であると考えられた。
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