研究課題
疾患の多くは生体内での酸化ストレスの発生,すなわち一酸化窒素(NO)の産生が直接的あるいは間接的に関与している報告が数多くある。カロテノイド類およびフラボノイド類における抗炎症作用、抗酸化作用等の生理作用を有することが報告されている。北方系植物、海産物についても生理作用の研究はなされているが、臨床応用されたものは少ない。そこで眼炎症動物モデルを作成し、NO産生抑制作用を示すことがわかっている北方系植物、海産物由来の抽出物の治療効果を検討した。これらの天然物をエンドトキシン誘発ぶどう膜炎モデルを用いて抗炎症効果を確認したところ、北方系植物であるアロニアの抽出物およびワカメ由来のカロテノイドであるフコキサンチンに眼炎症の抑制作用がみられた。すなわちエンドトキシンを投与したラットの前房水中には好中球を中心とした炎症細胞の浸潤やタンパク質の漏出、炎症性サイトカインおよびNO濃度の上昇が顕著にみられるが、アロニア抽出物およびフコキサンチンを投与したラットではこれらのパラメータは投与量依存的に抑制された。その抑制効果はステロイド投与群に匹敵していた。さらにこれらの天然物の炎症機序の解明をするために、マウスマクロファージを用いてエンドトキシンを処理した後の、培地中への炎症性サイトカイン産生量およびNOの産生量をみたところ、アロニア抽出物およびフコキサンチンの処理濃度依存的にこれらのパラメータは低値を示した。また細胞内ではエンドトキシン処理によりNO合成酵素が誘導されるが、これらの天然物はその酵素誘導も抑制することが明らかとなった。
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Invest Ophthalmol Vis Sci 46・1
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Experimental Eye Research 79・2
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Experimental Eye Research (in press)