研究概要 |
【小腸移植における急性拒絶反応に対する神経ペプチドbombesinの免疫抑制効果の判定】 [実験方法]雄性inbred Brown-Norway ratをドナーに、Leiws ratをレシピエントとして用い、allogenicな同所性少腸移植モデルを作成し、術後のFK506を0.1mg/kg/day, im x 14日間投与するモデルを作成した。さらに、それらを2グループに分け、bombesin投与群およびbombesin非投与群に分けて、移植小腸グラフトの急性拒絶反応の程度を組織学的に検討した。なお、Bombesinの投与方法はAlzet Osmotic mini Pump (model 2002)を腹腔内に留置し持続投与(10μg/kg/day)とした。 [結果]bombesin非投与群では移植後7日日に急性拒絶反応が認められ、移植後14日後ではグラフト粘膜は出血壊死に陥り、絨毛構造の完全な破壊が認められた。一方、bombesin投与群では、移植後14日後に軽度の急性拒絶反応を認めるのみで、グラフト小腸粘膜の絨毛はbombeisn非投与群に比較して、明らかに正常構造を保っていた。また、経過中の急性拒絶反応の程度を詳細に評価する目的にグラフト粘膜のcrypt領域におけるアポトーシスの程度についてTUNEL法を用いて検索したところ、bombeisn非投与群に比較してbombesin投与群ではapoptotic indexが有意に低値を示した。 [考察]以上の結果により、神経ペプチドであるbombesinは移植小腸グラフトの急性拒絶反応に対して抑制作用をもつことが判明した。今後さらに、bombesinの投与量やその全身性免疫応答に与える影響を解析していく予定である。
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