研究課題/領域番号 |
16659483
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中村 桂一郎 久留米大学, 医学部, 助教授 (20172398)
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研究分担者 |
太田 啓介 久留米大学, 医学部, 講師 (00258401)
増本 幸二 九州大学, 付属病院, 講師 (20343329)
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キーワード | 骨髄細胞 / 体性幹細胞 / 造血幹細胞 / 組織幹細胞 / resident macrophage / dendritic cell / fibroblast / GFPトランスジェニックマウス |
研究概要 |
GFPトランスジェニックマウス骨髄から採取した骨髄細胞を、放射線照射により骨髄幹細胞を抑制した同系統の野生型新生仔マウスに移植し、全身の臓器・組織に分布するGFP陽性細胞を検索する目的で、蛍光実体顕微鏡による個体および主要臓器(心臓、骨格筋、消化管、肝臓、膵臓、唾液腺、肺、腎臓、生殖器、胸腺、脾臓、リンパ節、脳・脊髄、眼球)全体にわたる観察、およびビブラトームスライスあるいは凍結切片の蛍光顕微鏡観察を行なった。 採取したGFP陽性骨髄細胞を、頭部の静脈中に移植した直後における、経皮的蛍光実体顕微鏡観察では、皮下静脈中を移動するGFP陽性細胞が観察された。移植後4週目のマウスでは、GFP陽性細胞は、骨髄内や、観察した主要臓器内には確認されず、大血管周囲の脂肪組織に若干のGFP陽性像を認めた。移植後3ヶ月の個体においては、骨髄細胞の約80%がGFP陽性細胞に置き換えられ、GFP陽性細胞は、球形、紡錘形あるいは樹状の細胞として、主要臓器内に、様々な頻度で分布しているのが観察された。これらの細胞は、骨髄の造血幹細胞に由来する各種血球細胞およびresident macrophage、あるいはdendritic cellと考えられる。さらに、紡錘形の細胞は、結合組織内のfibroblastあるはmyofibroblastと類似の形態を示すことが多く、それら細胞間の移行が示唆された。また、心臓においては、常に一定の数のGFP陽性心筋細胞が観察され、それら細胞の出現のメカニズムとあわせて、電子顕微鏡による微細形態観察により細胞種を同定し、抹消組織における骨髄由来細胞の医学生物学的意義について検討を続けている。これまでの研究成果は、平成16年8月京都の第16回国際解剖学会および11月熊本で開催された第46回日本顕微鏡学会九州支部学術講演会において発表した。
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