研究課題/領域番号 |
16659485
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
関堂 充 北海道大学, 病院, 講師 (40372255)
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研究分担者 |
山本 有平 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70271674)
堤田 新 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00374489)
古川 洋志 北海道大学, 病院・医員 (00399924)
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キーワード | 悪性黒色腫 / 抗癌剤 / シスプラチン / 抗癌剤感受性 / MDR-1 |
研究概要 |
形成外科で扱う予後不良の癌の一つである悪性黒色腫は抗癌剤に抵抗性である。この耐性を克服できれば感受性の向上が期待でき、引いては予後改善につながると考えられる。現在、進行期悪性黒色腫に対する化学療法ではシスプラチンを含めたプロトコールが多いが、その奏効率は高くない。 これまで、悪性黒色腫に関しての抗癌剤耐性に関する研究はまだほとんどなされていない。癌化学療法の感受性は同じ組織系の腫瘍であっても、個々により異なることが知られているが、薬剤耐性に関与する遺伝子を検索し、個々に感受性のある薬剤を使用することで、副作用の軽減を計り、有効な化学療法を行うことができると思われる。また癌細胞はある抗癌剤に感受性があっても長期間の接触により耐性になることも知られており、この耐性化機序を分子生物学的に解明していくことも抗癌剤治療の個別化への道を拓くものと思われる。 そこで本研究は、進行期悪性黒色腫に対する治療の個別化を目指した第一歩として、悪性黒色腫株における抗癌剤のうち特にシスプラチン耐性関連遺伝子の発現解析を目的とした。 悪性黒色腫細胞株を用いて、感受性試験(CD-DST法)を行い、シスプラチン感受性を検討した。すべてのシスプラチン耐性悪性黒色腫細胞株においてMDR-1の発現が亢進しており、他癌でも報告されている抗癌剤耐性関連遺伝子であるMDR-1の発現亢進が、悪性黒色腫においてもシスプラチン耐性に関わる遺伝子と考えられた。 今後、MDR-1を指標としてシスプラチン感受性を予測し、抗癌剤の個別化治療に進むと期待できる結果であった。また将来的に、siRNAなどを用いてMDR-1の発現を低下させることによりシスプラチン耐性を克服し、ひいては進行期悪性黒色腫の予後の改善につながる結果と考えられた。
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