研究課題/領域番号 |
16659502
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
阿部 伸一 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40256300)
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研究分担者 |
上松 博子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (10085821)
渡邊 裕 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (30297361)
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キーワード | ミオシン重鎖 / 筋線維特性 / 口腔癌 / バイオマーカー / マウス咬筋 / マウス舌筋 |
研究概要 |
我々が口腔癌のバイオマーカーとしてこれまで注目し研究を行ってきたHigh Mobility Group I(Y)[HMGI(Y)]は染色質の構造維持や様々な遺伝子の転写を制御している非ヒストンDNA結合タンパクである。これまでヒト大腸組織において、HMGI(Y)過剰発現が癌特異的に認められることは報告済みであるが、本年度我々は、マウスにおいて実験的に作製した舌癌モデルマウスの病巣周囲においてもHMGI(Y)が過剰発現していることを確認した。これら一連の研究から、口腔癌予後予測因子としてHMGI(Y)発現レベルの有用性が実証されてきたと考えている。今後このバイオマーカーによる癌病巣の予防的切除、術後の再発などが予測できるようになった場合においても、次に訪れるであろう問題点として、周囲の正常組織はどこまで本質的に正常であるかを検討する必要が生じてくる。特に筋組織は周囲の環境によってその特性を大きく変えることから、癌ではなくても正常な機能は発揮できていないことも考えられるが、これまでの癌研究においてバイオマーカーより外側の正常組織にまで視点を広げ、詳細に本来の組織との分子機構の違いを検討したものはみられない。そこで、正常筋組織の分子機構を知らなくてはならないが、今年度は特に頭部における正常筋組織の成長過程における筋線維特性分子機構の変化について研究、論文作成を行った(業績欄記載の通り)。このデータはマウス咬筋のものであるが、今後、咬筋にも実験的に癌を発症させ、その周囲の正常筋組織にどのような分子機構の変化が起こるのかについて検討していきたい。
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