平成16〜17年度に得られたマウス後舌腺粘液細胞の観察結果について、分泌顆粒にリン脂質が含まれる可能性をより明確にする為、光学顕微鏡、透過型電子顕微観察およびX線マイクロアナライザ(EPMA)による分析を行った。 光学顕微観察を行ったところ、酸ヘマチン法では生後早期より陽性反応を示す粘液顆粒が多く認められたが、腺の部位によって、陰性反応を示す顆粒と陽性反応を示す顆粒とが認められた。部位による違いについては、更に検討していく予定である。ナイル・ブルー染色法でも生後早期から成熟マウスに至るまで、分泌顆粒に強い陽性反応がみられた。顆粒にリン脂質が含まれる可能性が強くなったと考えている。 透過型電子顕微鏡によって顆粒の微細構造を調べたところ、舌下腺の粘液顆粒よりもやや電子密度が高く、二相性顆粒として認められた。後舌腺の成長に伴い、粘液顆粒の量が増し、腺房細胞の長径が大きくなったが顆粒の形態については大きな差はみられなかった。 光学顕微鏡観察で得られた所見と比較する為、X線マイクロアナライザ(EPMA)による分析を行った。その結果、腺房細胞の顆粒を含む部位は顆粒を含まない部位よりもリンを多く含むことが明らかになった。 現在、引き続き成長に伴って陽性反応が後舌腺のどの部位の腺房細胞にみられるのか、さらに雌雄差についても興味を持ち調べている。
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