研究課題/領域番号 |
16659504
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲二 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10162447)
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研究分担者 |
佐藤 秋絵 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30367304)
井上 孝二 鶴見大学, 歯学部, 助手 (40097308)
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キーワード | シクリッド / 硬組織形成 / 遺伝子 / 歯芽 / 象牙質 / BlastX / DMP1 / DSP |
研究概要 |
スズキ目(Perciformes)カワスズメ科(Cichlidaeシクリッド)ハプロクロミス類を用いて、硬組織形成に関与する遺伝子を同定する目的で本実験を行った。シクリッドの頭部から抽出したRNAを用いてcDNAライブラリーを作製した。EST(Expressed Sequence Tag)シークエンス・データから硬組織形成に関与すると思われる遺伝子を選び出したところ、哺乳類のdentin sialoprotein(DSP)および哺乳類・爬虫類のdentin matrix protein(DMP1)の遺伝子にホモロジーを示す遺伝子が1つ見つかった。DSP遺伝子とDMP1遺伝子は、共通の祖先遺伝子から進化した遺伝子であると想像されている。DMP1のアミノ酸組成の特徴は、酸性アミノ酸の割合とセリンの割合が高いことである。シクリッドで見つかった遺伝子は、酸性アミノ酸が29%を占めていたが、これは他の動物で知られているのと同等に非常に高い割合であった。哺乳類ではヒト29%・オポッサム27%、鳥類ではニワトリ30%、爬虫類ではカイマン26%である。セリンの割合はシクリッドで見つかった遺伝子では12%、他の綱の平均は約20%である。現在わかっている哺乳類、鳥類、爬虫類のDMP1 exon 6部分のアミノ酸配列と、シクリッドで見つかった遺伝子のアミノ酸配列の同等部分の配列を比較したところ、315アミノ酸中107アミノ酸が同一であった。すべての種に共通に保存されている領域においても、シクリッドで見つかった遺伝子のアミノ酸配列は、よく保存されていた。シクリッドで見つかった遺伝子は、BlastXで、ゼブラフィッシュのstarmakerともホモロジーを示した。starmakerは、ゼブラフィッシュにおいては耳石の形態形成に強く関与していて、dentin sialoprotein(DSP)のホモローグと考えられている。しかしながら、ゼブラフィッシュのstarmakerとシクリッドで見つかった遺伝子は、dot plotで比べてみると相同性は無かったので、シクリッドで見つかった遺伝子はstarmakerではない。シクリッドで見つかった遺伝子は、DMP1の特徴を持ち、dentin sialoproteinとホモロジーがあることから、DMP1とDSPのホモローグであると考えられる。
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