研究概要 |
平成17年度においては概ね次のような研究成果が得られた。 (1)ラットの骨髄細胞を採取し、破骨細胞前駆細胞を破骨細胞に分化させる培養実験系を用い、その分化の過程に液性因子が重要な役割を果たしていることを明らかにした。即ち、1日の様々な時間帯にラットから血清を採取し、それらを培養液中に添加したところ、形成される破骨細胞の数と機能は、血清を採取した時刻に大きく依存することが明かとなった。また、血清中のカルシウム調節ホルモンの役割について検討したところ、少なくともカルシトニンが破骨細胞の分化と機能のサーカディアンリズムの発現に重要な役割を果している可能性が示唆された。 (2)骨組織にはPer、Bmal, Clookなどの時計遺伝子が周期的に発現し、骨代謝のサーカディアンリズム発現に重要な役割を果していると考えられる。しかし、それら時計遺伝子の発現にどのような因子が関わるかについては明らかにされていない。本研究では、はカルシトニンが末梢における時計遺伝子の発現に大きな影響を与えている可能性が示された。 (3)カルシトニンの骨吸収抑制作用には大きなサーカディアンリズムが存在する。そのメカニズムについて検討した結果、破骨細胞に発現するカルシトニン受容体の遺伝子発現、それに連動する細胞内情報伝達系の機能に大きな日内変動があることが示された。 (以上)
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