研究概要 |
本研究の目的は,口腔粘膜上皮におけるB7分子発現をRNA干渉(RNAi)を用いて制御し,炎症を調節する可能性について検討することであるが,まず初年度としては,樹状細胞への二本鎖RNAによるshort interference (si) RNA法によるCD86(B7-2)のノックダウンを目的に研究を遂行した.まず、siRNAiの効果を評価するために、目的とするCD86に先だって、GFPをもちいてノックダウンを検討した。すなわち、293Tを用い、既知の公表されたGFPノックダウンsiRNAを用い、このシステムでのノックダウン効率を検討した。その結果、GFPを恒常的に発現する場合は50%程度の蛋白レベルでの発現低下、一過性に発現させた場合には95%以上の発現低下が認められた。一方で、マウス骨髄よりGM-CSFおよびIL-4存在下で誘導した骨髄樹状細胞(BMDC)への遺伝子導入法を蛍光色素であるAlexaFluor488を標識したコントロールsiRNAオリゴを用いて至適量等を検討し、65%程度の導入効率を示す条件を定めた。次に、実際に目的とするCD86について、6種の配列を選択、そのsiRNAを合成し、それらの効果を上記のシステムにて検討した。その結果、一過性にCD86を発現させた場合、6つのうち2つについて90%以上、2つについて80%以上、残りの2つについて60%以上の発現低下が認められた。今後、最も効果が高かった2つを選択し、培養骨髄由来樹状細胞に導入すると共に,マウス接触性過敏症モデルを用いて,in vivoにおけるsiRNAのDDSについて検討していく予定である。
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