研究課題/領域番号 |
16659521
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中村 卓 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30172406)
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研究分担者 |
角 美佐 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90284702)
木村 泰男 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30253686)
角 忠輝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80284701)
片山 郁夫 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80295089)
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キーワード | bFGF / マウス / 顎下腺 / 器官培養 / X線 / 防護 |
研究概要 |
ヒトbasic fibroblast growth factor (bFGF)は強力な血管新生作用と線維芽細胞増殖促進作用を有する成長因子である。このため、bFGFは最近褥瘡、皮膚潰瘍の創傷治癒促進剤として臨床応用されている。基本的にはこの効果は(1)血管内皮細胞の遊走、増殖にひきつづいておこる血管膜の形成と(2)線維芽細胞の増殖による肉芽形成促進によりもたらされていると考えられている。 この研究ではこうしたbFGFのもつ働きに注目し、この成長因子を頭頸部放射線治療に伴う重大な作用の1つである唾液腺機能障害の予防ならびに治療へ応用する可能性を探るための基礎データを得ることを目的とする。我々の最近の臨床データでは耳下腺では15Gy以上、顎下腺では30Gy以上照射された場合に機能障害を誘発する。特に対向2門照射により耳下腺、顎下腺の4腺全てに上記以上の照射がなされると、重度の口腔乾燥症を惹起し、かつ長期間(11週間以上)に亘り継続すると考えられる。 従って、頭頸部放射線治療患者における口腔乾燥症の予防と治療は患者のQOLを高める意味で重要な意義を持つ。しかしながら現在まで有効と認められ臨床応用診断できる予防法、治療法はない。 今年度は放射線照射により受ける唾液腺への影響を調べるために、胎児顎下腺の器官培養の確立に目標を置いた研究を行った。その結果、胎性13日目のマウスより摘出した顎下腺をニュフリポアー・ポリカーボネート・トラックエッチ・メンブレン上で2-3日間培養することができるようになった。この間、顎下腺ではその腺管構造の分化が進んでいた。平成17年度は今後この実験系の確率を急ぐと共に放射線(D.S-20Gy)を照射した後の変化を顕微鏡レベルで捉えたい。またその後bfgfの存在下での変化を観察する予定である。
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