研究概要 |
(1)レポーターベクターの作製 ヒト骨芽細胞株SaOs2のDNAを抽出し、過去に活性が高いことで報告されているOPGのプロモーター領域(2kbp)(Thirunavukkarasu et al. J Biol Chem 276:39,36241,2001)をPCRにて増幅し、その後Renillaルシフェラーゼベクターとライゲーションを行いOPGのレポーターベクターの作製に成功した。またRANKLについては、Reddy博士(サウスカロライナ医科大学)よりFirenyルシフェラーゼベクターにプロモーター領域(2kbp)をライゲーションしたベクターの供与を受けた。 (2)歯根膜細胞への遺伝子導入 抜去した歯牙より得られた歯根膜から培養皿上へ遊離してきた細胞に、OPGまたはRANKLのレポーターベクターをコントロールベクターと共に同時に遺伝子導入する。その際、プライマリーの細胞の核に高い導入効率を有し、さらに導入の際に生じる死細胞の数が圧倒的に少ないという実績を持つ遺伝子導入装置(AMAXA)を用いた。 (3)レポーターアッセイ 遺伝子導入したヒト歯根膜細胞にLypopolysaccharide(LPS)を添加し、OPGおよびRANKLの発現について今回購入したルミノメーターを用いてアッセイを行ったところ、OPG, RANKLともに発現が誘導されるが、OPGの方がより多く合成されていることが明らかになった。今後さらに、これらのプロモーターに結合する転写因子について解析し、歯根膜細胞に働くLPSの情報伝達機構について解明することで、細菌感染による炎症の拡大を防ぐことができる新薬の開発につなげていこうと考えている。またこのような作用を持つ物質を歯科材料に配合することで、逆根管充填剤への応用についても検討している。 (今回の研究は九州大学歯学研究院の生命倫理委員会にて認可されている)
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