研究分担者 |
吉田 靖弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90281162)
入江 正郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90105594)
田仲 持郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40171764)
西山 典宏 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (90112953)
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研究概要 |
緒言:無歯顎に対して使用する有床義歯は,咬合関係を失った患者の機能回復に重要な役割を果たしている。現行の義歯作製法は,口腔の印象から得られた模型上でワックス義歯を作製し,そのワックス部分を合成樹脂に置換しているが,このシステムは適合性の問題および操作の煩雑さが指摘されてきた。そこで,本報告者らは従来法のワックス義歯床の部分をあらかじめ多官能性メタクリレートと種々のポリマー,超微粒子ガラスフィラーから成る重合性複合ペーストにし,これに人工歯を排列して直ちに光重合することを試みた。 材料および方法:1)重合性複合ベースの調製は,多官能性メタクリレート(bis-MEPP, TEGDMA)に光触媒(camphorquinone 0.2%,ethyl-4-dimethylaminobenqoate 0.8%)を添加したモノマーに、ポリ塩化ビニル,PMMAおよびコロイダルシリカを50〜80wt%になるように充填した。2)試作複合レジンの重合率測定は,フーリエ変換赤外分光光度計を用いて炭素一炭素間二重結合基1560〜1660cm^<-1>のピーク面積比から求めた。3)試作複合レジンの曲げ強さ測定は、4×2×25mmのテフロンモールドにレジンを充填して光照射(TR1AD2000,Dentsply社)を10分間行った後,重合体を37℃蒸留水中に24時間浸漬して万能試験機を用いて三点曲げ試験から求めた。 結果および考察:ワックス義歯床の役割を担う複合レジンペーストは,人工歯の排列時に要求される植立,材料の追加・削除および彫刻性などの基本操作性が備わっていることが判明した。本レジンの重合率は,充填材(ポリマー,シリカガラス)の添加量によって異なり,フィラーの多い系ほど重合率が高い傾向になった。また,本複合レジン重合体の曲げ強さは,80〜90MPaで従来のPMMA系レジンに近似した値を示した。
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