研究課題/領域番号 |
16659532
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鈴木 一臣 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (30050058)
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研究分担者 |
吉田 靖弘 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (90281162)
入江 正郎 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (90105594)
田仲 持郎 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (40171764)
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キーワード | レジン義歯 / 操作性 / 光重合 / 適合性 / 機械的強さ / 人工歯接着 / 生体安全性 / 重合率 |
研究概要 |
緒言:現行の義歯作製法は、口腔の印象から得られた模型上でワックス義歯を作製し、そのワックス部分を合成樹脂に置換しているが、このシステムは原型との適合性の問題および操作の煩雑さが指摘されてきた。そこで、本報告者らは従来法のワックス義歯床の部分をあらかじめ多官能性メタクリレートと種々のポリマーおよび超微粒子ガラスフィラーから成る重合性複合ペーストにする試みをした。すなわち、患者の口腔形態模型上に本複合ペーストを圧接し、ここに直接人工歯を排列して光重合するために義歯床の寸法変化が少なく、適合性に優れた義歯が期待できる。本年度は、新規義歯作製システムにおける床部の機械的強さ、適合性および人工歯の接着性について検討した。 材料および方法:1)重合性複合ペーストの調整は、bis-GMA/TriEDMA多官能性メタクリレートにカンファーキノン系光触媒を添加したモノマーにPVC,PMMAおよびコロイダルシリカを50〜80wt%になるように充填した。2)複合ペースト重合体の機械的物性測定は、各種試験用金型にペーストを充填し、可視光照射を10分間行った後、重合体を37℃蒸留水中24時間浸漬して行った。3)適合性の測定は、計測点5箇所を有する顎形態原型との間隙によって行った。4)複合ペーストと人工歯の接着性は、PMMA系レジン歯を用いて剪断接着強さを求めた。 結果および考察:複合ペースト重合体の機械物性は、曲げ強さ(MPa):90、圧縮強さ(MPa):140-160、ヌープ硬さ:20-22、抗折たわみ(5kg荷重時):3.5mmであった。適合性は、原型と本複合レジン重合体との間隙幅が0.01〜0.2mmの範囲で良好に適合していた。人工歯(PMMA系レジン歯)と試作レジンの剪断接着強さは、12〜13MPaであって従来のアクリル系レジン床と同等の値を示した。以上の結果から、本研究において提唱した光重合型複合ペーストは、現行の義歯作製工程におけるワックス義歯の経由を省略できることが明らかとなった。
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