研究課題/領域番号 |
16659537
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松家 茂樹 九州大学, 大学院歯学研究院, 助教授 (00108755)
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研究分担者 |
石川 邦夫 九州大学, 大学院歯学研究院, 教授 (90202952)
宮本 洋二 秋田大学, 医学部, 教授 (20200214)
中川 雅晴 九州大学, 大学院歯学研究院, 講師 (80172279)
有働 公一 山口大学, 医学部, 助教授 (60145266)
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キーワード | 炭酸アパタイト / 水酸化カルシウム / 炭酸カルシウム / 生体材料 / 骨補填材 / リン酸化 / 傾斜機能材料 |
研究概要 |
一軸加圧成型により得られた水酸化カルシウム圧粉体をガス流通型反応器内で二酸化炭素と反応させ炭酸カルシウムブロックとしさらに第3リン酸塩(NH_4,Na, K)水溶液と60℃で反応させブロック表面に炭酸アパタイト層を形成した。アパタイト相の形成速度はK>Na>NH_4塩の順に小さくなった。一日処理後の転化率はKとNa塩の場合で50%以上、NH_4塩の場合で約25%程度であった。形成された炭酸アパタイトの組成および構造を粉末X線回折装置およびフーリエ変換赤外分光光度計で検討したところ、炭酸イオン含有量はNa塩の場合が最も大きく、K塩とNH_4塩ではほぼ同程度であった。 骨髄細胞を炭酸アパタイトブロック上に播種し、αMEM中で一定期間C0_2インキュベータ内での培養による細胞付着性および増殖性を検討した。炭酸アパタイトブロック上への細胞付着性は焼結体アパタイトと同程度であったが、増殖率は多少劣っていた。しかし、RT-PCRによるタイプ1コラーゲン、ALP、オステオポンチンおよびオステオカルシンのmRNAの発現はコントロールとしてのプラスティックプレートや焼結体アパタイトと比較すると、炭酸アパタイト上で有為に促進されることがわかった。 さらに顆粒状とした炭酸アパタイト骨置換材を雄ラット頭頂骨の欠損部に埋入し、一定期間後に取り出して組織観察を行ったところ、埋入8週後では、炭酸アパタイト顆粒はサイズが小さくなり丸みを帯び、部分的に吸収され新生骨と置換している像が認められた。同様に埋入した焼結体顆粒では組織親和性は良好であるが、粒子形態に変化はなかった。このことから、炭酸アパタイトは優れた吸収性を示すことがわかった。処理時間を変えて任意の組成比の炭酸アパタイト/炭酸カルシウム複合体を調製することにより、吸収性をコントロールした傾斜機能型骨置換材の創製が可能であると考えられる。
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