研究概要 |
吸収性高分子材料を定場材料が歯周およびインプラント治療の有力な治療手法となっている.残念ながら,物性面,細胞親和性,分解制御において未だ満足な段階とはいえない.本研究ではポリ乳酸(PLA)およびポリグリコール酸等の吸収性合成高分子材料に新たな官能基を導入しそ新規足場材料を創製し,自己組織再生誘導の優れた治療法への応用を目指す. 1)新規化合物の合成,解析 これまでに幅広く研究されているPLAであるが,その側鎖にヒドロキシル基、エーテル基,エステル基を導入した例はほとんど知られていない.これらの置換基を導入したPLA誘導体を合成できれば,より特異な物性を持つ生分解性高分子となる可能性が高い.そこで本研究では各女のPLA誘導体をラクチド誘導体を経る重合によって合成することを試みた.1.L-セリンのアセチル化後アミノ基のヒドロキシル基への変換経路,2.L-セリンのアミノ基を塩素原子により置換し続いて塩基によりエポキシ化する経路,3.L-セリンのアミノ基を臭素原子により置換し,つづいてヒドロキシル基をアセチル化し,塩基で処理する3通りの合成経路を試みたが,新規PLA誘導体の合成には至っていない.来年度は経路2のエポキシドのカルボキシル基を保護した後に,開環,脱補語する合成ルートについて検討したい. 2)市販吸収性合成高分子材料のIn vitro生体適合性試験 市販吸収性合成高分子材料のポリ乳酸・ポリグルコール酸共重合体からなるGuided Bone Regeneration(GTR)膜の生体適合性試験についでも行った.線維芽,上皮,骨芽細胞を用いて,他の2種類のGTR膜(非吸収性およびコラーゲン)とその挙動を細胞増殖・分化の点で比較したとこるコラーゲンメンブレンで細胞増殖が,ポリ乳酸メンブレンで細胞分化がそれぞれ高くなった.また,標識抗体法で接着性タンパク発現がコラーゲン膜で高くなることも明らかとなった.
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