研究課題/領域番号 |
16659550
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤内 祝 名古屋大学, 医学部, 教授 (50172127)
|
研究分担者 |
小林 猛 中部大学, 応用生物学部, 教授 (10043324)
本多 裕之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70209328)
西口 浩明 名古屋大学, 医学部・附属病院, 助手 (00335043)
上田 実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00151803)
|
キーワード | VX7細胞 / 転移モデル / Magnetoliposomes(MLs) / 口腔癌 / 温熱療法 |
研究概要 |
1.兎VX7移植舌癌頚部リンパ節転移、肺転移モデルの作成 兎舌にVX7細胞を、1×10^6個/ml(0.1ml)舌左側辺縁に移植した。移植後14日目には全例において舌半側を占める腫瘍を形成していた。頚部リンパ節転移、肺転移は全例において肉眼的、組織学的にも認められなかった。移植後21日目には舌腫瘍は対側にまで及び、全例において腫瘍側深頚部リンパ節に転移を認めた。組織学的には中心部において壊死を示していた。肺転移は5例中1匹に認めた。移植後28日目においては、全例において可動部舌はほとんど腫瘍で占められ、腫瘍側深頚部リンパ節は転移を示した。肺転移は5匹中4匹に認めた。しかし兎は餌の摂取が著しく困難となり、衰弱傾向を認めた。以上の結果から、癌治療の実験モデルとしては、3〜4週が妥当と考えられた。 2.Magnetoliposomes(MLs)の舌から頚部リンパ節転移巣、肺転移巣への移行の量的時間的検討転移モデルの舌に粒子径約90nmのMLsをマイクロシリンジポンプを用い、30分かけて注入した。含有マグネタイトは20mgである。注入後のMLsの臓器移行は、深頚部リンパ節においては注入後1日目、3日目でマグネタイト量は最大を示し、7日目においては減少を認めた。いずれの時期においても磁場下での加温が可能なマグネタイト量を示し、またMRI画像において明らかな集積を認めた。肺転移巣に関しては、いずれの時期においても、マグネタイトは微量であり、磁場下での加温は困難と考えられたが、MRI画像において肺転移巣への集積を認め、画像検査におけるMLsの有効性が示唆された。 以上の結果から、頚部リンパ節転移に対して、MLsを用いた磁場誘導組織内温熱療法は有効である可能性が示された。肺転移に対しては、MLsの投与量、投与回数、投与方法について、さらなる検討が必要である。
|