研究概要 |
1)仮骨延長開始1週間 対照:仮骨延長開始前のdistraction gap内には密に結合組織が認められたが,仮骨延長によって引き伸ばされ結合組織は疎になっていた. GBR膜:distraction gap上・内にアルギン酸ナトリウムが残存していた.distraction gap内は残存アルギン酸ナトリウムを取り囲むように疎な結合組織が認められた. 2)仮骨延長開始2週間 対照:両側骨断端に骨芽細胞が認められるがdistraction gap内には線維性組織で満たされていた.骨形成は認められない. GBR膜:distraction gap上にはアルギン酸ナトリウムは依然残存していた.一部の症例では対照に比べ明らかにgapの幅が狭くなっていた.ただ症例によれば残存アルギン酸ナトリウムが炎症を惹起していた. 3)仮骨延長開始4週間 対照:distraction gapは2週目に比して狭くなっており,distraction gap内は膜性骨化により線維性組織に存在する間質系細胞が直接骨芽細胞に分化し未熟骨を形成していた. GBR膜:distraction gap内に骨新生が認められ2週目よりはその幅や線維性組織の量も減少していたが,2週目ほど対照との差は認められなかった.さらに一部の新生骨はアルギン酸ナトリウムを核にして骨が再生されている像が認められた. 本研究の目的は,distractionによって生じたgap内への結合組織の侵入を防ぐ目的で用いたGBR膜がgap内の骨形成を早めるのに有用かどうかの検討である.その結果,今回GBR膜として用いたアルジネート膜は2週目で対照よりは骨形成を促進していたと思われるが,4週目では優位な差はなかったため,GBR膜としてのアルジネート膜の有用性は認められなかった.特にアルギン酸ナトリウムはgap内の骨形成の核になっていたが,逆に炎症を惹起している像が認められ検討課題である.
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