唾液腺の発生は口腔上皮の肥厚が粘膜直下の間葉組織へ索状に侵入することによって始まる。その時期はマウス顎下腺で胎生12日(E12)である。E12.5から13の顎下腺を器官培養し、分枝形成を観察することによって唾液腺形成は上皮-間葉相互作用によって調節されていることが明らかになってきた。すなわち、EGF受容体、FGF受容体I、およびHGFの特異的受容体c-Metからのシグナルが分枝形成に重要である。 再生医療を考えると、個々の生体から正常幹細胞を分離し、in vitroで増殖、分化させ、元の生体に戻すことが必要となる。Goodellら提唱するHoechst33342染色性のいわゆるside population(SP)がマウスやヒト唾液腺に存在するかについて検索し、少なくともSP細胞が存在することを確認した。それら細胞はいかなるマーカーをもつのか、いかなる分化能を発揮するのかついて検索中である。
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