研究課題/領域番号 |
16659582
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
上杉 由祈恵 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教務職員 (40201347)
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研究分担者 |
山本 松男 昭和大学, 歯学部, 教授 (50332896)
中村 利明 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (60381183)
白方 良典 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (60359982)
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キーワード | GDF-5 / ミニブタ / 歯周組織再生 |
研究概要 |
前年度、ラット歯周組織欠損モデルを用いて行ったGDF-5/コラーゲンスポンジ担体(実験群)、コラーゲンスポンジ担体のみ(対照群)に対して、今年度、組織学的検索を行った。4週の観察期間を通して両群共、炎症所見は認められなかった。組織学的評価の結果、対照群と比較して実験群では骨欠損底部に作製したノッチを超える歯槽骨の増生が認められた。これらの結果より、ラット実験系においてはGDF-5の歯槽骨再生の可能性が示唆された。しかしながら、ラット口腔内の規格欠損の作製は非常に困難であり、ミニブタなどの大型動物の使用が求められた。そこで、今年度、GDF-5を医用ミニブタ3頭の1壁性歯周組織骨欠損へ応用を行った。12週の観察期間を通してGDF-5/アテロコラーゲンスポンジ担体(実験群)、アテロコラーゲンスポンジ担体のみ(対照群)共、際だった炎症所見は認められなかった。組織学的評価の結果、新生骨形成量については両群間で差は認められず、顕著な骨再生は認められなかった。一方、実験側では新生セメント質再生量が大きく、上皮の深行増殖が抑制されている傾向が認められた。両群間で組織再生量について統計学的有意差が認められなかった点については歯周組織再生について予知性の低い1壁性歯周組織欠損を用いたためと考えられる。新生セメント質に関しては、GDF-5による分化・誘導の関与が示唆された。しかしながら、今後、欠損サイズ、欠損形態、GDF-5の至適濃度、適切な担体についてさらに検討を進める必要があろう。今回は、実験動物としてヒトと高い類似性を有する医用ミニブタを用いた点で新規性を有しており、その解剖学的特性を把握することが可能であった。今後、歯周組織再生の評価のみならず、多角的に医用ミニブタを用い貴重なデータを得るうえで有意義であったと考えられる。
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