研究課題/領域番号 |
16659583
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
本多 丘人 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (30109475)
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研究分担者 |
森田 学 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (40157904)
兼平 孝 北海道大学病院, 講師 (90194935)
高橋 大郎 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (80312370)
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キーワード | 口臭 / 唾液 / 環境工学 / 溶存酸素 / COD |
研究概要 |
口臭治療に携わる歯科医師の間では、唾液中の酸素が減少することで口腔内嫌気性細菌の発育・増殖を促し、悪臭を伴った口臭を発生させると考えられている。しかし、基礎的な根拠(evidence)が未だ明確でなく、解明が必要なテーマであった。 そこで今回の研究では、唾液中の様々な因子から、溶存酸素(DO)と化学的酸素要求度(COD)の高低が口腔内の嫌気的環境度(汚染度)を示す指標ではないかと考え、これらの指標と口臭(揮発性硫化物の濃度を測定)との関係を明らかにすることを目的とした。 平成16年〜18年度末までに、北海道大学病院歯科診療センターにおいて、本研究への参加に承諾の得られた被験者130名の口臭を簡易ガスクロマトグラフィーにより分析、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドの口臭構成物質の濃度を測定した。同時に被験者からガム法におる刺激時唾液を採取して、DOとCOD測定を行い、口臭構成物質の濃度との関連を調べた。 (結果)1)各測定項目の平均値±標準偏差は、硫化水素276.6±419.3ppb、メチルメルカプタン51.1±105.8ppb、ジメチルサルファイド27.5±109.8ppb、溶存酸素8.12±1.20mg/L、化学的酸素要求度2.24±0.92g/Lであった。2)それぞれの口臭構成物質の濃度と溶存酸素、化学的酸素要求度の値には、統計学的関連は認められなかった。また、唾液中の溶存酸素と化学的酸素要求度の間にも統計学的には何の関連も認められなかった。 (考察)当初の作業仮説とは大幅に異なり、口臭と刺激唾液中の酸素量や化学的酸素要求度の間には何ら関係がないことが明らかとなった。しかし、唾液中の溶存酸素および化学的酸素要求度の値は個人間のばらつきが少なく、一定範囲内であった。このことは唾液の特質を考える上で興味深い事実といえる。
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