研究概要 |
1.看護師の臨床判断に関する61の和文献から,(1)臨床判断の研究の現状と課題を明らかにする、(2)臨床判断の要素を検討する、(3)看護師の熟練度による臨床判断の特徴を知ることを目的として文献調査を行った。発表年,分析方法,分析場面の3項目については、全文献のデータを分類して算出した。また、臨床判断の要素,看護師の熟練度による臨床判断の特徴の2項目は全文献のデータを分類しコードを抽出した。臨床判断の研究はここ10年間に行われ,臨床判断した印象深い体験の想起やペーパーペイシェントによる分析は多いが,参加観察法は6件のみであった。分析場面は,成功した判断場面など患者対看護師の1対1の関わり場面が大半であった。臨床判断の要素は、判断のプロセスやパターン、判断の内容、判断の根拠、判断に影響を及ぼす要因に分類された。熟練度による臨床判断の特徴は,熟練看護師ほど複数の推論や看護行為の選択肢をもち、自分の判断を常にモニタリングし、チームに働きかけようとする判断があった。現在論文を投稿中である。 2.患者と始めて対面し情報を蓄積しながら判断し、看護ケアの方向性を見出す健康歴聴取の場面において、熟練看護師と新人看護師の判断思考過程の違いを質的研究により明らかにすることが目的である。調査対象は、熟練看護師と新人看護師各15〜20名を予定しているが、現段階では熟練看護師7名と新人看護師6名の調査が終了したところである。グランデッドセオリにより分析している途中である。実際に健康歴を聴取している場面に研究者が立会い、テープに録音し逐語録を作成する。また、健康歴を聴取した後に、患者と始めて出会ったときに考えたこと、健康歴を聴取する前に準備していたこと、聴取している途中で気になったこと、終了後に考えたことなどをインタビューし、健康歴聴取の場面と照合しながら分析している。
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