研究概要 |
本研究は,助産師が産婦のケア過程で内診以外の非侵襲的観察内容で分娩進行状態を判断していると考えられる現象について,前年度のインタビュー調査の結果で得られたデータから調査票を作成し,分娩進行状態の判断に有効な非侵襲的観察項目を明らかにすることが目的である. 1.データ収集期間:2006年1月 2.研究対象:産科または週産期センターを有する100床以上の病院に勤務する臨床経験3年目以上の助産師 3.方法:前年度のインタビュー調査の結果で得られたデータから調査票を作成.調査票は,潜伏期(子宮口開大3cm未満)に関する現象6項目,進行期(子宮口開大3cm〜8cm未満)に関する現象83項目,極期(子宮口8cm以上)に関する現象130項目,分娩を促進させるケア内容15項目の合計234項目で構成し,回答は助産師個々の臨床経験に基づき,8割以上該当するものは「その通り」,6割以上8割未満「だいたいその通り」,5割前後「どちらでもない」,2割以上4割未満「あまりそう思わない」,2割未満「そう思わない」,該当しない「わからない」の6段階とし,パイロット・スタディ後に郵送法にて調査を実施した. 4、倫理的配慮:研究の趣旨を文書にて説明し調査票は無記名とした.なお,無記名による調査であるため,調査票の返信をもって,研究協力に承諾を得たれたものとした. 5.分析:統計ソフトSPSS Ver.13を用い記述統計処理した. (1)調査票は247名に配布し,145名から(回収率58.7%).うち,未記入の調査票を除いた144名の回答を解析対象データとした. (2)対象者の平均年齢は34.97±8.69歳(25〜58歳)であった.助産師経験年数は,3〜5年目39名(27.1%).6〜10年目50名(34.7%),11〜15年目19名(13.2%).16〜20年目11名(7.6%),21年目以降25名(17.4%),平均経験年数は11.24±7.95年(3〜35年)であり,分娩介助件数は平均341.65±315.57件(15〜2000件)であった.また,スタッフ助産師113名(78.5%),主任・副師長・師長クラス助産師30名(20.8%)であった. (3)234項目の項目のうち,回答が「その通り」「だいたいその通り」であった項目は.潜伏期では6項目中4項目(66.7%),進行期では83項目中46項目(55.4%),極期では130項目中94項目(72.3%),分娩を促進させるケア内容は15項目中13項目(86.7%)であった.また,Kaiser-Meyer-Olkinの標本妥当性およびBaetlett検定は,潜伏期KM00.871,近似x^2=383.230(p<0.001),進行期KM00.685,近似x^2=7759487(p<0.001),分娩を促進させるケア内容KM00.840,近似x^2=1076.348(p<0.001),極期は標本数不足により検定結果はでなかった.
|