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2005 年度 実績報告書

看護師はうつ病患者に共感的理解ができるのか?

研究課題

研究課題/領域番号 16659624
研究機関筑波大学

研究代表者

上野 恭子  筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50159349)

研究分担者 栗原 加代  茨城キリスト教大学, 看護学部看護学科, 講師 (40382816)
水野 恵理子  山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教授 (40327979)
キーワードうつ病(うつ状態) / 一般看護師 / 共感 / ハイブリッド法による概念分析 / 修性版グランデッド・セオリー・アプローチ法
研究概要

看護師が入院患者との関係で、共感的に関わるとはどういう現象なのか、特にうつ状態(病)の患者に対して看護師が共感できるのか、できないとしたらそれはどのような要因が関連しているのかを探索する目的でSchwart-Barcott、Kim(1986,1993)のハイブリッド法を用いて共感の概念分析を行った。
平成17年度にはハイブリッド法のフィールドでの調査段階として、臨床の場で実際にどのような共感の現象が生じているのかの調査を行なった。本研究は平成17年筑波大学医の倫理委員会の承認を得て面接を実施した。被面接者は精神科看護師5名と一般科看護師8名の13名、さらに共感される側の体験者として総合病院入院患者6名と病院内で家族メンバーを失った遺族6名の合計12名であった。面接は、前年度の文献研究で抽出した共感の定義や影響要因をもとにインタビューガイドを作成し、半構成面接とした。面接時間は平均56分であった。面接内容は被面接者の同意を得た上で録音し、その後逐語録を作成し分析を行った。データの分析には修正版グランデッド・セオリー・アプローチ法(木下,2003)を用いた。
分析の結果、一般科看護師の共感は看護師自身の私的な経験を基に思考されて生じることがあり、患者の気持ちをともに体験できたあとは患者へ声をかけ、アドバイスをすることによって患者の苦痛を軽減させることができた。しかし、「もし自分が患者だったら」と仮定した場合、患者から「一歩ひく」気持ちにもなることがあり、自分が揺れて苦しくなる事態を避けようとした。また、患者の気持ちに近づけない要因には看護師の経験年数が短いことだけでなく、患者自身の要因も関係していた。その要因には患者が良くなりたいと真剣に思っているようにみえない、自ら話そうとしない、暗い感じ、話しが発展しない、何を考えているのかわからないなどがマイナス要因として抽出され、これらはうつ病の症状に共通する現象であった。詳細な分析は継続して行うが、現時点での結論として、一般科の看護師にとってうつ状態(病)の患者の症状は看護師の共感を発生させにくい要因となっていることが示された。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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