研究課題
本研究では、光を利用した効率的かつ部位選択的な遺伝子導入を達成するために、(1)イオン性デンドリマー型光増感剤(DP)を内包する高分子ミセルによる光選択的遺伝子導入法、ならびに、(2)光に応答して機能発現する新規3元系ポリプレックスを開発することを目的としている。(1)の研究において、本年度は、DPを内包した高分子ミセルと遺伝子を内包した高分子ミセルを同時に、ガン細胞と培養し、光を照射することで光非照射時の100倍以上の遺伝子導入効率を達成した。また、遺伝子内包ミセルを構成するブロック共重合体のポリカチオンの化学構造について最適化を行ったところ、エチレンイミンの繰り返し構造を側鎖に有するポリエチレングリコール-ポリカチオンブロック共重合体により、効率的な光選択的遺伝子導入が達成された。高分子ミセルは、血流中を長期滞留し、固形ガンに選択的に集積するために、DP内包ミセルと遺伝子内包ミセルの同時投与による光選択的遺伝子導入を実行することで、固形ガンに対してより選択性に優れた遺伝子導入が実現されるものと期待される。(2)の研究において、本年度は、カチオン性ペプチドとプラスミドDNAから成るポリプレックスの表層にアニオン性のDPを作用させることにより、表面がDPに覆われた光応答型人工ウイルス(3元系ポリプレックス)を調製した。3元系ポリプレックスは、培養ガン細胞に対し、200倍の光選択的遺伝子導入を実現し、導入効率の観点においてもポリエチレンイミンに匹敵する高い遺伝子発現が達成した。また、低分子の光増感剤を使用した場合は光照射による細胞毒性が顕著であったが、3元系ポリプレックスにおいては、高い光選択的遺伝子導入効率にも拘らず、ほとんど細胞死が認められなかった。以上の結果より、3元系ポリプレックスは、局所投与において毒性を示すことなく光選択的なin vivo遺伝子導入を実現することが期待される。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
Journal of the American Chemical Society 127(9)
ページ: 2810-2811
Journal of the American Chemical Society 127(6)
ページ: 1624-1625
Angewandte Chemie, International Edition 44(3)
ページ: 419-423
Bioconjugate Chemistry 16(1)
ページ: 122-130
Journal of the American Chemical Society 126(42)
ページ: 13612-13613
Biomacromolecules 5(6)
ページ: 2128-2136