今年度は、三ヶ年の研究期間の最終年度であるので、研究成果の発信を主として行った。具体的には、10月に科学技術振興機構と北陸四大学主催で行われた「北陸四大学新技術発表会」において、「シリコン半導体を用いた低被ばくのX線撮像装置と単色X線発生装置」という題名で発表を行い、この研究で取得した2件の特許の紹介と宣伝を行った。発表後、興味を持ってくれた企業数社との面談も行った。この発表は研究成果の発信に大いに役立ったと思われる。 研究成果としては、9月に「X線発生装置」という名称で特許を出願した。これは、単色のX線源に関する特許で、この研究で開発中のX線撮像装置と組み合わせて使用することで、X線を用いた医療診断における被ばくを飛躍的に軽減できる装置である。具体的に説明すると、単色X線を発生させるためにはまず、電子線を1次ターゲットに照射して制動放射によって連続X線を発生させ、それを2次ターゲットに照射し、そこから発生する特性X線(単色X線)を利用する。この手法はすでに公知であるが、この特許は2次ターゲットとその周辺の構造に関するもので、単色X線の発生効率を2倍近くに高めることができる。医療診断に用いるX線には、最適なエネルギーのX線があるが、現在は連続X線を用いている。単色のX線源ができれば、被ばく量を半分近くにすることができる。今後は、シリコン半導体を用いたX線撮像装置と、この単色X線発生装置を組み合わせた医療用X線診断装置の開発を目指す。
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