| 研究概要 |
ラット後球海綿体筋は、アンドロゲンに対し極めて感受性に強い骨格筋の一つであり、去勢により著名な萎縮を誘発し、去勢後テストステロンを投与することにより明らかな再肥大を誘発することが多くの先行研究により明らかにされている。しかしながら、去勢後の骨格筋萎縮時におけるapoptosisの関与とandorogen receptorの発現およびmyogenesis regulatory factorsの関係については未だ明らかにされていない。そこで本研究は、男性生殖付属器官である後球海綿体の去勢及び去勢後のテストステロン投与による再肥大過程におけるandrogen receptor・myogenesis regulatory factors・apoptosisの関係について検討することを目的とした。実験動物としてWistar系雄性ラット、抗androgen receptor抗体、抗MyoD抗体、抗myogenin抗体、apoptosis detection kit、apoptosis relationship protein抗体(ubiquitin,E1,E3)を購入し、各関連について免疫組織化学的手法・組織化学的手法を用い検討した。去勢1週間後、ラット後球海綿体筋の著名な萎縮が観察され、TUNEL陽性反応を示す筋核が認められた。またandrogen receptor陽性反応を示す筋核は対照群のものに比し減少する傾向が示された。一方、去勢後テストステロンを投与することによりTUNEL陽性反応を示す筋核は殆ど認められず、多くの筋核にmyogenesis regulatory factorsの発現が認められた。これらのことから男性ホルモンレベルの低下による男性生殖器付属器官である後球海綿体筋の萎縮には細胞死が関与する可能性が示唆された。
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