2004年7月から10月にわたって、滋賀県余呉湖最深部に照度・温度センサーロガー、超音波流行流速プロファイラーおよびデータロガー式クロロフィル計を設置し、連続自動観測を行った。この期間中、1週間に1回程度の頻度で琵琶湖揚水の流入部と最深部の2地点において、鉛直方向2m毎に採水を行い、植物プランクトン各種の現存量ならびに栄養塩濃度を測定した。また採水試料の一部を用いてアルカリフォスファターゼ活性の測定を実施した。これら2調査地点において鉛直方向1m毎の一次生産量を明暗瓶法により測定した。さらに余呉湖全域の植物プランクトンの3次元分布を把握するため、採水2地点を含む15地点において多成分水質計によるクロロフィル、濁度、溶存酸素量、電気伝導度の鉛直測定を行った。 現在、水質分析・計数結果が出そろった状態であり、今後、自動観測装置から得られた大量の時系列データを用いつつ、植物プランクトンの種遷移が、物理・化学環境の細やかな変動にどのような影響を受けて進行していくかについて詳細に検討していく予定である。 室内培養では、代表的なアオコ形成ラン藻類であるアナベナの現場増殖速度を推定する方法を開発するため蛍光顕微鏡下での細胞内DNA含量の経時変化の解析と、ELFを用いた細胞毎のアルカリフォスファターゼ活性の測定方法の確立を目的として、2005年に入ってから実験を開始したが、十分な時間がとれず具体的な成果が出ていない状態である。夏には野外調査でこれらの方法を適用する必要があるので、今後集中的に培養実験を進める予定にしている。
|