細胞を培養するためのマイクロチップを設計し、作製した。チップはガラス基板にウェットエッチング法により作製したものとソフトリソグラフィー法により作製したPDMS製チップの両者を比較検討した。また、作製したチップを用いた場合の最適な培養方法についても検討を行った。その結果、数種類の細胞について至適な培養条件範囲を明らかにすることができ、両素材のチップともに細胞培養に対して優れた性能を有していることを明らかにした。 また、より精密に生育状態を制御することを目的に、細胞が接着するチップの内表面に数百nmオーダーの構造体を作製し、その表面での生育状態についても検討した。ナノ構造体については、ガラス基板に金属パターンを作製してその上に自己組織化膜を構築し、そこに細胞外マトリックスをパターニング化する方法と、ガラス基板に凹凸として構築したナノ構造体をPDMSに写し取って、この表面で細胞を培養する方法の2種類を検討し、どちらにおいても細胞が通常の平滑な表面での培養とは異なった生育状態をとる可能性があることを見いだした。 一方、検出システムと組み合わせた細胞実験システムとしては、刺激に応じてマクロファージから放出されるNOをジアゾカップリング法で発色させながら熱レンズ顕微鏡で検出したり、あるいは放出されるサイトカインをマイクロチップELISA法で定量するといったことを試み、分析時間や必要細胞数などの点で従来法よりも優れた性能を有することを見いだした。
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