研究概要 |
本研究課題では、 (1)様々なゲート構造を有する強磁性単電子トランジスタの作製技術を確立し、素子特性のより詳細な検討を行い、基本3端子素子としての基礎特性を把握する。 (2)ゲート電極にRC直列回路を有するRC結合型強磁性単電子トランジスタを用いたメモリー素子を作製し、電荷と磁気(スピン)を記憶量とする新しいメモリー素子技術の研究開発を行う。 を目的としている。 初年度(平成16年度)では、「各種変調ゲート構造を有する強磁性単電子素子群における作製技術の確立」を年度目標として、研究開発を行った。具体的には、様々な変調方式を有する強磁性単電子デバイスファミリーを作製するための、ユニークな10nm級ナノリソグラフィー手法の確立を行った。実際には、Ni, Fe, Coなどの強磁性金属に対して走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いた局所反応場制御リソグラフィー技術を適用し、微細加工条件やSPMパラメータの最適化を行った。これより、本研究にて、タッピングモードを用いたSPM局所酸化ナノリソグラフィーを新規に提案・開発し、線幅15nmというナノリソグラフィーが可能であることを明らかにした。 更に、本手法を用いて、プレナー型Ni系強磁性トンネル接合ダイオードを作製した。作製した素子の電流電圧特性を17〜300Kにて測定した結果、明瞭な整流特性を示し、Ni酸化物細線が電子に対するバリアーとして作用していることが明らかとなった。また、素子の磁気抵抗特性では、初期的な結果ながら17Kにおいて10〜100%の磁気抵抗変化率が得られた。これより、本手法を磁性ナノデバイスの作製に適用出来る可能性が示された。
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